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トラックボール製品レビュー

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Kensington SlimBlade Trackball

2009年3月20日掲載

SlimBlade Trackball
SlimBlade Trackball
2009年1月。米国Kensingtonが6年ぶりにトラックボールの新製品「SlimBlade Trackball」を発表しました。
新しいトラックボールは、ボールの回転検知に用いるレーザーセンサーを2つ備え、通常の縦横の転がりに加えてボールのひねり方向の回転を検知することが出来るようになりました。これによって、スクロールホイールの機能をボールのひねりで実現しています。
3月になって米国で出荷が始まったので、早速入手してみました。
 
箱を開けて最初に気づくのが、ドライバソフトが入っていないこと。欠品かと思い、米国への返送とかいろいろ頭を巡りましたが、箱やUSBコネクタ付近のラベルに「www.slimbladetrackball.comからドライバソフトをダウンロードせよ」と書かれていました。今やインターネット環境は当たり前と言うことでしょうか。
 
SlimBladeデザイン
Kensingtonロゴ
発表当初から目を引いたのはそのがデザインでした。
本体はExpertMouseよりもずっと薄くなり、まさにSlimBladeの名前にふさわしいシルエットを実現しています。ボタン部分が本体と一体化しているのも最近の流行です。
本体の色はメタリックブラックで光沢があります。濃いメタリックレッドのボールの周囲はメッキで鏡面仕上げされており、全体的に落ち着いた印象に仕上げられています。
USBケーブルも普通のビニールコードではなく、布目の被服で仕上げられており、デザインへのこだわりが伺えます。
 
では、そろそろ本題の使い勝手の方に行きましょう。
ボールの転がりについてはExpertMouseと同じく快適です。ボールの径も同じで、転がし感覚はとても似ています。
たまに転がりが悪くなったら、ボールを外して汚れを拭き、本体側でボールを支えている3つの球のまわりの埃を取り除きます。仕上げにボールにハナのあぶらをちょいと付ければ、また快適に転がってくれます。
新しいボールのひねりを使ったスクロールについては、ボールの周囲のメッキされた部品の上で指を滑らせながらボールをひねると、指一本でできます。
ひねりを検知している間はポインタが動かないようになっているようですが、勢いを付けてスクロールさせようとするとポインタがずれます。このため、縦に長いページをずっとスクロールしていると、いつの間にかポインタがウィンドウを外れ、スクロールしなくなってしまうことがあります。
同じボールで全てを実現する必要があったのかは疑問ですが、ExpertMouseのスクロールリングよりコストも抑えられたでしょうし、構造もシンプルになっています。
 
ボタンについても、本体と一体化して部品数の削減に貢献していますが、どこからどこまでがクリック出来るのかわかりづらくなってしまいました。これは慣れれば気にならなくなるかも知れませんが、ボールの横に近い部分を押さないとクリックが重く感じられます。
ボタンは4ボタンですが、SlimBlade Trackballではボタンカスタマイズ機能はありません。ここは、この製品の賛否が分かれているポイントでもあります。
手前の2つのボタンは、通常の左右クリックボタンです。Windows XPではOSの機能により左右の反転が出来るようでしたが、それ以上のカスタマイズはできません。
モードのガイド
モードのガイド
また、奥の2つのボタンはモード切り替え機能に固定されています。通常のトラックボール操作ができるNavigation mode(Cursor modeの表記もあり)から、左奥ボタンを押すとMedia modeに、右奥ボタンを押すとView modeに切り替わります。
Media modeになると、左手前ボタンはPlay/Pause、右手前ボタンはStop、ボールの左右回転はNext/Previous、ボールのひねりはVolumeになります。
View modeになると、左手前ボタンは100%表示に戻すボタン、右手前ボタンはページ幅を合わせるボタン、ボールの回転でパン(スクロール)を行い、ボールのひねりでズームします。
このようにボタンの機能は固定されていますが、ブラウザを操作しながらバックグラウンドのMediaPlayerの曲選択をしたりボリュームを変えたりできるのはなかなか面白いと感じました。
 
ちなみに、ドライバをインストールせずに本機をパソコンに接続した場合、手前の2ボタンと、ボールのひねりによるホイール機能までが動作(クリック音も)します。奥の2ボタンは機能しません。
個人的には、普通の4ボタン仕様にして、ドライバでモード切替が出来るようにして欲しかったと思います。
 
1週間ほど使ったレベルの感想ですが、このトラックボールは「面白い」です。
ボタンの押しやすさ、スクロールとポインタの独立性などは、ExpertMouseの方が優れており、デザインや楽しさではSlimBladeが優れています。
しっかりした兄貴のExpertMouseと、面白い弟のSlimBladeという構図が見えます。
 
とことんカスタマイズ派にはSlimBladeはお勧めしません。(ドライバまで改造するなら別ですが。)
ブラウザとメールが中心で、パソコンを道具にしてネットを楽しむという向きには、とても楽しい製品です。
日本国内でも早く店頭で買えるようになってほしいところです。
 
(余談ですが、SlimBladeシリーズは、レーザーセンサーと薄型のボディが特徴の、Kensingtonの人気シリーズです。既に数種類のマウスと、トラックボール付きマウスを発売しています。シリーズのトラックボール付きマウスの商品名が「SlimBlade Trackball Mouse」という名前なので紛らわしくなっています。購入の際はご注意ください。)


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