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トラックボール製品レビュー

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Cursor Controls ProTrack 60i (R60i)

2004年8月4日掲載

Cursor Controls ProTrack 60i
Cursor Controls ProTrack 60i
今回のレビューは、英国Cursor Controls社のProTrack60iです。
このところ若干マニアックな機種のレビューが続いていますが、これはその極致と言ってもいいかも知れません。CursorControl社は業務用途なのでショップ売りしていませんし、日本の代理店もありません。
今回、同じ英国のKELVIN HUGHES社に供給された特注カラーのものがebayオークションに出ており、箱入り新品を入手することが出来ました。
供給を受けているKELVIN HUGHES社は、コンピュータメーカーではなくて船舶のレーダーを作っている会社です。このマリンブルーのProTrackは本来であれば海の上に行くべきものだったようです。
この色違いのものは、今年新造されたクイーンメリー2世号(Queen Mary 2)にも搭載されているそうです。
さて、このちょっと変わった生い立ちを持つトラックボール。入力装置としての使い勝手は...?
 
まず、箱から出した第一印象は、「でかい」でした。まあ、ボール径が2.5インチ(63.5mm)で、機械式ExpertMouseのボール2.25インチ(57.15mm)を上回るわけですから少しは想像していたのですが、いざ見るとそれは弁当箱のようでした。
おおきいもの並べ
大きいものくらべ
写真では左のExpertMousePROとあまり大きさの違いがないように見えますが、部品の大きさや、全体の分厚さなどが圧倒的な存在感を与えます。これをデスクに置くと、それはもう「操縦する」感覚になってきます。
実際に手を置いてみると、そのパームレストの大きさに安心感を覚えると同時に、「このボタンレイアウトでホントに操作できるの?」という不安にかき立てられます。というのも、全てのボタンを奥に配置してある本機は、ボタンに指を添えるとボールは指の腹あるいは手のひらで操作せざるを得ないからです。
実際に使ってみると、手のひらでのボール操作とクリックはじきに慣れるのですが、ドラッグ時にはボールを手のひらでは転がせず、親指で操作せざるを得ない点はマイナスです。船舶レーダーはじめ業務用機器でドラッグ操作というのも少ないのでしょうけれど。
特徴である2.5インチのボールは、大きさに見合った転がし感を与えてくれます。この重さも、「操縦する」気分にさせてくれます。
ボールの回転検知は機械式で、音からするとベアリング支持のステンレスシャフトでボールを支えているタイプのようです。ボールの取り出しは分解が必要になるようです。
ボタンも、マイクロスイッチやタクタイルスイッチのものではないらしく、全くクリック感無くスカッと押し込める感じで独特です。ボタンのレイアウトは、左ボタン、中ボタン、右ボタンという一般的な構成です。
色んな面で、普段なじみのあるトラックボールとは一線を画すこのトラックボールですが、対象とする使い方もまた普通ではないようです。
パソコンを日常的に使っている操作には厳しいところがありますが、専用装置などでポインティングを行った上でボタンにより指示を行うという基本操作を考えると、むしろ誤ってボタンを押すことのないこのレイアウトが大切で、市販の製品では不向きということになるのだと思います。
もちろん、ゲームに使ってもこの操作感と頑丈さは活きてくると思います。
日常のパソコン利用とはちょっと違った気分で操作してみたい時にはいかがでしょうか。
どうやって手に入れるのかという問題はありますが。


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