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トラックボール製品レビュー

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M570

2011年4月23日掲載

Logicool Wireless Trackball M570
Logicool Wireless Trackball M570外観
今回のレビューは、昨年(2010年)10月15日に発売されて以降高い人気を保ち続けている、ロジクールのM570です。
パソコン向けマウスのブランドとしてはトップブランドのロジクール(logitech)ですが、トラックボールの新製品の発売は、カラー変更などのマイナーチェンジを除けば、2002年のCordless Optical Trackman以来、実に8年ぶりのことでした。
また、2005年にマイクロソフトのTrackball Opticalが販売終了して以降、親指操作型のトラックボールでは5ボタン(4ボタン+ホイールボタン)の製品は一般に流通していない状況でした。
このため、昨年(2010年)9月に発表されるやいなや、M570はトラックボール使いの間でたちまち注目の的になりました。
発売後も、数ヶ月間も品薄状態が続いたことは、それだけ待ち望まれた製品だったということでしょう。
今日に至っても、kakaku.comのマウス売れ筋ランキング(2011/4/11〜4/17)において1位を維持しています。トラックボールがマウスランキングで1位というのは、ただ待ち焦がれられていた以上の性能を持っていたことの表れだと考えられます。
なかなか入手できなかったM570をやっと手に入れたので使ってみました。
 
ロジクールらしいしっかりとした作り
本体の作りはロジクールらしくしっかりとしていて、ガタつきや歪みもなく、しっかりとしています。
第1、第2ボタンは、それぞれ人差し指と中指でクリックするようになっていて、マウスと同じレイアウトです。最近のロジクールのマウスでは、ボタン部分は本体と一体になっていて、たわみによりクリックするデザインになっていますが、M570はボタン部分は別部品になっています。ボタンはどの部分を押しても良好に反応し、このあたりもロジクールブランドの期待に反しないつくりになっています。
第4、第5ボタンのレイアウトは、人差し指で操作するよう、第1ボタンの左側に縦に並んで配置されています。第1ボタンにかけた指を少し左に反らした場所に、ちょうど第4ボタンが来るレイアウトになっていて、操作感は上々です。第4、第5ボタンは僅かに押し込みが固めにセッティングしてあったり、第5ボタンのほうが出っ張らせてあったり、使ってみるとそれが使いやすさのため(誤操作防止のため)であることがわかります。
第1、第2ボタンのスイッチはマイクロスイッチで、第4、第5ボタンのスイッチはタクトスイッチを用いているように思われるクリック感でした。
 
水玉模様が消えたボール
ボールはロジクールとしては初めての青のメタリックカラーになりました。従来の水玉模様は、trackman marble発売当時はボールの転がりを検出するために必要なものでしたが、センサー技術が進み、M570ではレーザーセンサによる検出となったことから、水玉模様がなくなりました。
従来の赤い水玉模様のボールは、一部でデザインが気持ち悪いとされて毒苺とまで評されていたので、今後の機種にはもう同様の模様がつくことはないでしょう。Trackman Marbleに始まった表面読み取り式のトラックボールの黎明期が終わろうとしているのだと感じます。
本機のボールの転がりは軽くスムーズで、操作によるがたつきも感じられません。マウスカーソルの動きについても、X,Y方向とも特に不自然さはなく、このあたりからもつくりのよさを感じます。
 
次の上位モデルへの期待
親指操作型のトラックボールとしてほとんど申し分ないM570において、一番残念だったのがホイールです。
現在のロジクールのマウス製品群では、左右スクロールも可能なチルトホイールや、慣性をつけて一気にスクロールさせる動作に切替できる高速スクロールホイールが採用されています。
しかし、M570のホイールにはどちらの機能も備わっていません。きわめてオーソドックスなスクロールホイールとなっています。本体内のスペースの問題やコストの問題なのかも知れません。
ホイールの回転操作のクリック感は浅めで、シュルシュルとクリック感が伝わってくるホイールです。また、ホイールボタン(第3ボタン)のクリック感は固めで、押すとカチッと音がします。
高速スクロール対応のチルトホイールが付いた、トラックボールの上位モデルにも期待したいところです。
 
ワイヤレスの性能向上
底面の電池ふたを開けたところ
底面の電池ふたを開けたところ
いつも語るのは、本体を動かさないトラックボールにワイヤレスが必要なのかということ。
電池交換という手間と、そもそも電池というゴミを出してしまうことを考えると、ワイヤレスである必要はないと思うのだけれど。
ただ、M570では、Cordless Optical Tracknanと比べると乾電池が2本から1本になり、電池寿命も長くなったとされており、改善は見られています。
電池残量のインジケータLEDは、電源をONにしたときと、スリープから戻った時のみ数秒間光る仕様となっていて、これも電池消費を抑えているようです。
また、無線ユニットも従来の小型マウスに迫る大きさだったものから、マウスやキーボードと共有できる小型のUnifyingレシーバーとなり、使い勝手を向上させています。このレシーバは最大10mまで通信することができ、従来品の1mよりも使い勝手が格段に向上しています。
本体の底面に物理的に電源OFFにできるスイッチが付いたので、スリープのみであった機種よりも電池寿命が延びそうです。電池横にはUnifuingレシーバを格納できるようになっていて、ノートパソコンと一緒に持ち運ぶ場合など、レシーバを紛失しにくいよう工夫されています。
 
Trackman Wheelとの比較
新旧親指操作トラックボールを並べる
新旧親指操作トラックボールを並べる
M570の基本的なデザインは、2000年に発売されたCordless TrackMan Wheel以降のロジクールの親指操作型トラックボールの基本的なデザインを概ね継承していますが、若干丸みを帯びたデザインとなっています。その上で、第1ボタンの左側に第4、第5ボタンと電池状態を表示するLEDを追加してあります。
本体は小指部分に付いていた滑り止めのラバーの部品がなくなって、全体がプラスチックになっています。なくなっても特にグリップ感の低下はありませんし、ラバーは経年劣化でべとべとになってしまうため、省略というよりむしろ改善されたと見ています。
ボタンのストロークはTrackman Wheelより深くなっています。Trackman WheelやCordless Optical Trackmanはボタンストロークが浅めだったため、個人的にはM570のストロークの方が好みではあります。
ボールの大きさは新旧で変わりありません。前述のとおり色と模様が変わっています。
では、好みでアレンジしてもいいんじゃ?とボールの入れ替え実験をしてみたんですが、結果は惨敗でした。Trackman WheelにM570のボールを入れたらどうなるかは、大方の予想通りほとんど無反応という結果に終わりました。その逆に、M570にTrackman Wheelのボールを入れてみたところ、使えるには使えるのですがマウスカーソルの動きが半分くらいに低下してしまいました。恐らく、水玉模様以外の場所はメタリックカラーでないためにレーザーセンサーが反応せず、水玉模様部分だけの移動を検出したためではないかと考えられます。いずれにしても、どちらもあまりお勧めはできません。
 
人気に納得できました
ホイールに欲を出した発言こそしましたが、\5,000以内でデスクトップ型のワイヤレストラックボールが買えると言うのは嬉しいことです。
作りもしっかりしていて、使い勝手についても充分に配慮されていると感じました。
親指操作タイプのトラックボールを今購入するとしたら、とりあえずこの機種をお勧めして間違いないでしょう。


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