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トラックボール写真館

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A4Tech Wintrack (WT-5P)

2004年11月21日掲載

「Assimilation」あまり聞き慣れない名前のメーカだと思います。しかし何を隠そうこの製品は今なお高性能で名を知られ、その名前を知らないトラックボールファンもいないであろうKENSINGTON TurboMouseの前身に他なりません。
TurboMouseの初期バージョンは、この製品とはロゴくらいしか違いがなかったようです。また、当時の純正キーボードはテンキーレスだったこともあるのでしょう、Assimilationはテンキー付きのトラックボールも発売していました。
今回、e-bayにてこの骨董品を落札することが出来ました。本来のパッケージや付属品はわかりません。出品者によれば、これはMac用で最初のトラックボールだそうです。

始めに概観。アウトラインは当時のMacintoshのキーボードとデザインが統一されています。
背面にはカスケード接続用のシリアルポートが付いています。
上面と右側面下側には、円筒状の突起が合計3ヶ所に見られます。これは、内部構造上のもので、デザインというわけではありません。
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Assimilationのロゴは本体だけでなく、コネクタにもしっかり付いています。このへん、KENSINGTONにも引き継がれてますね。
背面からは、1985年の製品であること、米国製であることなどが伺えます。
背面4隅のネジを外せば、カバーを外すことが出来ます。
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カバーはシンプルで、カバー側にはボタンも付いていません。
表側の突起部分は、しっかり裏側が凹ませてあります。
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本体側です。ベアリング側面の模様の反射を読む方式ではなく、ロータリーエンコーダが入っていました。この円盤の上部が、カバー側の突起になっていたのです。
ボールの回転を検出するローラー部分は接点が小さくなるように工夫されています。
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ボタン部分です。ボタンカバーにあたる部品が大型のタクトスイッチに固定されています。マイクロスイッチも使われていなかったようです。
そのままでは感触がもうひとつだったのでしょうか、ウレタンスポンジのようなものが挟み込まれています。
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ふたつのコネクタを外すと基板を外すことが出来ます。ネジ止めはされておらず、基板上の穴にはめ込んで位置を固定するようになっています。
基板の裏面は至ってシンプルです。
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基板を外すと、ボールの支持機構が見えます。大型のベアリングをローラーとして用いる方法が当時から採られていたことがわかります。20年を経ても転がし感は変わりません。
このベアリングは縦横移動の検知と関係ないので、現在のように90度の配置ではなく120度の間隔で周囲を3等分して配置されています。
右側のベアリングは側面にはみ出しており、外部の突起の原因になっています。
ベアリングの軸は左右にHゴムが付いており、これで底板に固定する方法が採られていました。
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ケーブルまわりです。接着剤で底面に固定されています。
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今回の分解結果です。
結局使われていたネジは4本だけでした。
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さすがに古いものだったので、実は分解はかなりの掃除をしながら進めました。
外部は湯洗いして洗剤で手垢を落としメラミンスポンジで仕上げ、内部の毛髪やホコリは吹き飛ばして、こってりした汚れはティッシュで拭き取り、ベアリングは水垢落としの消しゴムで磨きました。
結果的にはこれと言った傷もなく、大変状態の良いものだったと思います。
20年前の製品とはいえ現在の製品との共通点も多く、KENSINGTONの原点として大変興味深い製品でした。



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